余暇政策論ノート(京都市の外観を守るための取り組み〜色彩の観点から〜)
010104k 石原佳菜子
<一般の看板と違う看板?>
色彩の点から京都市の景観を考えるとき、やはり一番目に付きやすいのは、屋外広告だろう。
その中で、一般の人でも気づきやすいのは、ファーストフード店の看板(ディスプレイ)だ。代表的なものでは、京都市内にある、マクドナルド、モスバーガー、そして、吉野家の看板は、赤や黄色といった看板の色が目立ちすぎて、景観を損なうとして、看板の色が地味な色に変えられたり、色のコントラストの度合いを抑えたりしている。
(参考)http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5203/macd/yos.htm
<京都市の景観を守るための市民の活動>
京都市の景観を守るために、行政が行う以外に、市民が中心となって行っている活動がある。その中で、中心的な役割を果たしているのが、「街の色研究会・京都」だ。この団体はボランティアの人々が中心となって、歴史文化都市京都はまた、21世紀の今、世界に向けて飛躍、発展する現代都市でもあるので、都市景観を形成する基本的要素としての色彩のあり方について調査、研究、議論し、これからの京都の景観色彩のガイドライン形成への契機にしている。この研究会では京都市の色彩に関するシンポジウムを積極的に開いている。それには、市民はもとより、大学生、研究職の人々、行政担当者、環境整備の関連会社の人や、その他芸術文化にわたる専門家の人々の参加があり、注目されている。そのシンポジウムの内容は多岐にわたっており、景観行政の観点から行われるディスカッションや、「京都の色彩ガイドライン試案」など、内容が豊富だ。
その中で、1999年にシンポジウムの話題として出されたものに、京都市内を走る市バスの広告について、というものがあります。京都市交通局で企画、試験運行されている車体を全面広告としたしバスに関して、京都市では屋外広告物に関して厳しい規制があるのに対し、バス車体の広告は許可されるというのは、京都の街にそぐわないのでは、と提言した。その後、2001年2月から京都市は、市の財政建て直しのために、市バスの前面ラッピング広告を認可し、15台のラッピングバスが運行されていたが、市民や観光客のクレームが殺到し、議会で議論も行われた結果、ラッピングバスの禁止が決定された。
このように、京都市の景観を守る活動は、市民に支えられている部分が多い。
(参考)街の色研究会HP http://www.kyoto-art.ac.jp/~nara/machiiro/mokuji.html
http://www.toyota-ttc.co.jp/radio/scoop/scoop_20020428.html
<対立は起きないのか?>
上にあげた、ラッピングバスの例にもあるように、市民や観光客たちの京都市の古都としての景観を守ろうとする意識高いといえる。しかし、行政からすると、ラッピングバスが廃止になったことによる、財政面の打撃など、苦しい局面を迎えている。このように、市民と行政の対立は年々大きくなってきているといえる。
また、行政以外にも、京都市街地に高層マンションや、ビルを建てる事ができないのも問題視されている。京都市は人口も多い大都市なのに、居住空間が狭く、また京都市街に住みたい人がいても、住む場所がない、という問題が起きている。景観を守ることと、住む場所など、都市としての生活空間を確保することのバランスが問題であるといえると思う。古都の真中に大きなビルを立ててしまえば、景観は損なわれる→だから、反対する。これは、一つの大きな理由ではあると思うが、ただそれだけで反対していいのだろうか。京都市が大都市である以上、ある程度の妥協が必要だとも思える。
このような意見の対立が今後、どう解決していくのか注目したいと思う。
(参考)http://www.mansionadvisor.com/wadai/a10_wadai30.html